終焉の楔アポカリプスノヴァ

「終焉の楔:アポカリプス・ノヴァ」は、2026年9月に広告から確認されたスマートフォン向けゲームです。

今回のゲームについて実際にプレイして確認したところ、単にドラゴンボールを連想させるデザインが使われているというレベルではありませんでした。

ゲーム内にはドラゴンボールのキャラクターがそのまま登場し、キャラクターボイスやBGMについても原作由来とみられるものが確認できます。そのため、少なくとも今回確認したゲームについては「ドラゴンボールに似たゲーム」という表現だけでは実態を十分に説明できません。

さらに、このゲームは過去に確認された、

  • 超越領域:アセンション・コード
  • 境界線上の戦士:ディメンション・シフト
  • 滅亡の未来:ラストスタンド

とゲームコンテンツが共通しており、タイトルや配信名義を変更しながら同じゲームを展開しているとみられます。

しかし、ここで疑問になるのが、「これだけ分かりやすくドラゴンボールの素材が使われているのに、なぜApp Storeに掲載できるのか?」という点です。さらに、Instagramなどでも広告として表示されていることを考えると、広告審査についても疑問が生じます。

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App Storeの審査

「App Storeで配信されているから公式に許可されている」という考え方は間違いです。

AppleのApp Review Guidelinesでは、第三者の商標、著作物などの保護された素材を許可なく使用することを禁止しています。また、アプリに使用するコンテンツについては、開発者側が必要な権利を持っていることが求められています。Appleは、第三者の知的財産権を侵害していると考えられるアプリについて削除などの対応を行う仕組みも用意しています。

つまり、本来であれば今回のようなアプリは問題になる可能性があります。

しかし、「ガイドラインで禁止されている」ことと、「審査時点ですべての問題が発見される」ことは別です。

App Reviewは「世界中の権利関係を完全に調査する審査」ではない

AppleはApp Storeに提出されたアプリについて、アプリ本体、アップデート、メタデータ、アプリ内課金などを審査しています。

ただし、Appleがすべてのアプリについて、

  • 「このキャラクターはどの作品のものなのか」
  • 「このBGMはどこから取得されたものなのか」
  • 「この声優の音声を使用する権利を本当に持っているのか」
  • 「このゲームは過去に別会社から配信されたゲームと同一ではないか」

といった権利関係を、人間が一つひとつ完全に調査しているわけではありません。

特に今回のように、

  • アプリ名はドラゴンボールと無関係
  • App Storeの説明も一般的なRPGとして記載
  • 開発者名もドラゴンボールと無関係
  • スクリーンショットなどにも権利元の名称を明記しない
  • 実際のゲームを進めると原作キャラクターなどが登場する

という構造になっている場合、ストア上の情報だけでは権利侵害の全容を把握しにくくなる可能性があります。

Apple自身も、アプリのメタデータは正確である必要があり、隠された機能や未説明の機能を含めるべきではないと定めています。

逆にいえば、審査時点で問題が見つからず公開されたとしても、それが「すべてのコンテンツについて権利確認済み」という意味にはなりません。

ストア説明と実際のゲーム内容の差

今回の「終焉の楔:アポカリプス・ノヴァ」では、この点が特に重要です。

App Store上では、一般的なRPGとして説明されています。

ところが、実際にゲームを起動してプレイすると、ドラゴンボールのキャラクター、原作のBGM、キャラクターボイスなどが確認できます。

Appleのガイドラインでは、アプリの説明、スクリーンショット、プレビューなどのメタデータは、アプリの主要な体験を正確に反映する必要があるとされています。さらに、隠れた機能や未説明の機能についても問題になる可能性があります。

したがって、今回のように「ストアページだけを見ると一般的なゲームに見えるが、実際にプレイすると別作品の著作物が大量に登場する」という状態は、Appleのガイドライン上でも重要な確認ポイントになります。

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なぜ審査で発見できないのか

ここにはいくつかの可能性があります。

1. 審査時に問題のある部分まで確認されなかった可能性

ゲームの審査では、アプリが正常に動作するか、説明された機能が存在するか、課金が機能するかなど、非常に多くの項目を確認する必要があります。

Appleは、レビュー担当者がアプリを確認できるように、開発者に完全なアクセスを提供することや、必要に応じてデモアカウントを用意することなどを求めています。

しかし、ゲームのすべてのステージ、すべてのキャラクター、すべてのBGM、すべてのボイスを人間が長時間プレイして確認することとは別問題です。

そのため、審査を通った=ゲーム内のすべての権利関係が調査済みとは考えられません。

2. 権利侵害は権利者からの申告が重要になる場合がある

知的財産権については、権利者側から問題を指摘することで削除につながるケースがあります。Appleのガイドラインにも、第三者の知的財産権を侵害していると考える場合の申立て手段が用意されています。

つまり、Appleが最初からすべてを発見するという仕組みだけではありません。

公開された後に権利者やユーザーなどから問題が指摘され、そこから追加調査や対応につながるケースも考えられます。

これは今回のようなゲームを考えるうえで非常に重要です。

3. アプリ名や説明から権利侵害を判断しにくくしている可能性

今回のゲームでは、アプリ名そのものに「ドラゴンボール」という言葉が入っていません。

例えば、

「ドラゴンボール公式ゲーム」

「ドラゴンボール最新作」

などと明記していれば、非常に分かりやすい問題になります。

一方で、「終焉の楔:アポカリプス・ノヴァ」という全く別のタイトルを付け、ストア上では一般的なRPGとして説明すれば、少なくとも商品ページだけから原作との関係を把握することは難しくなります。

Appleも、他社の商標や人気アプリ名などを利用してApp Storeの検索や発見システムを操作することを禁止しています。

今回のような「タイトルを完全に別物にする」という方法が、結果的に権利元との関係をストア上で見えにくくしている可能性があります。

Instagramの広告審査も同じ問題を抱える

Instagramについても似た構造があります。

Instagramの広告はMetaの広告システムによって審査されますが、広告が掲載されたこと自体が、その商品の著作権や商標権についてMetaが「正式な権利を確認した」という意味ではありません。

Meta自身も、Instagramなどで第三者の知的財産権を侵害するコンテンツを投稿することは禁止しており、著作権侵害の申告や削除、異議申立てなどの仕組みを用意しています

つまり、Instagramで広告が表示された場合も、「Metaがこのゲームはドラゴンボールの正式ライセンスを持っていると確認した」とは言えません。

広告が一度審査を通過して掲載されることと、その広告主が広告に使用するゲームそのものの権利関係が完全に確認されていることは別問題です。

広告とゲーム本体では審査対象も異なる

例えばInstagramに、

「新作ファンタジーRPG登場」

という広告が掲載されていたとしても、その広告だけを見てゲーム内部のすべてのキャラクターやBGMまで確認することは困難です。

広告クリエイティブ自体にドラゴンボールのキャラクターが登場していなければ、広告だけでは原作との関係が分からない可能性があります。

そして広告をクリックするとApp Storeへ移動し、App Storeではまた別のストアページが表示されます。

つまり、

広告

App Storeの商品ページ

アプリをダウンロード

ゲームをプレイ

初めて原作キャラクターやBGMなどが確認できる

という段階構造になります。

この構造なら、各段階だけを見ると問題が分かりにくくなる可能性があります。

まとめ

「終焉の楔:アポカリプス・ノヴァ」がApp StoreやInstagram広告に登場しているからといって、ドラゴンボールの正式なライセンスを取得していることを意味するわけではありません。AppleのApp Review Guidelinesでは、第三者の著作物や商標などを無許可で使用することは禁止されています。さらに、アプリ内の素材を使用する権利を確保する責任は開発者側にあります。

一方、実際の審査では、世界中のゲームについてすべてのキャラクター、BGM、ボイス、過去作品との関係まで完全に調査できるわけではありません。

また、Instagram広告についても、広告が掲載されたこと自体がMetaによる著作権・商標権の正式な承認を意味するわけではありません。Metaには知的財産権侵害の報告や再審査の仕組みがあります。

今回のケースでは、さらに同一とみられるゲームが、

  • 「神への叛逆者:ロスト・オリジン」
  • 「超越領域:アセンション・コード」
  • 「境界線上の戦士:ディメンション・シフト」
  • 「滅亡の未来:ラストスタンド」
  • 「終焉の楔:アポカリプス・ノヴァ」

と名前や配信名義を変えながら登場しています。

そのため、単純に「Appleの審査が甘い」という一言で説明するよりも、

「ストア審査・広告審査では発見されにくい形で配信し、問題が発覚した場合にも別タイトル・別名義で再展開できる構造が存在する可能性がある」

と考える方が、今回確認された現象を説明しやすいでしょう。